Knowledge Column

ナレッジコラム

情報という言葉を人の側から定義してみようー混沌から知恵へー

情報技術革新は、IoT、AI、ロボット、インターネット、DXなど我々の社会の枠組みを大きく揺さぶっています。技術先行のイメージで語られる中で、「情報」というひとくくりで語られている言葉を、N.Wagner [※1]が提案したキーワード、1. 混沌(Chaos)、雑音(Noise)、2. データ(Data)、3.インフォメーション(Information)、4.知識(Knowledge)、5.知恵(Wisdom)で階層化すると人と技術の役割が見えてきます(下図参照)。

1. 混沌は創造の母体

「混沌」の状態では挑戦が起こり、既存外のものが出てきます。「雑音」は「混沌」から発せられる情報で、創造はその中からメッセージを選別する行為となります。

2. 混沌とした情報を秩序づけたものがデータ

パターン認識や分類によって「雑音」に秩序(Order)を持ち込むと「データ」という意味(タグ)付けが可能な情報になります。

3. 文脈、視点をもつことでデータをインフォメーションへ

我々が文脈あるいは視点(Context)を持てば、タグ付けされたデータ間の埋もれた相互関係を認識でき、「インフォメーション」と呼ばれる情報になります。そしてデータが文脈の中に位置づけられると解釈可能になります。

4. 知識化には集団共通の視点に飛躍するための物語化が必要

「インフォメーション」が「知識」になるのは、個人的文脈から、他人を巻き込む世界観を持った文脈で語られるようになった時です。断片的なインフォメーションを体系化し、共有できる物語(Narrative)化することが鍵となります。

5. 知恵は魔法のようなもので、経験や直観の産物

「知恵」は捉えがたい概念で知識から知恵への転換は魔法(Magic)としか言いようがないと言います。魔法は別の言葉で言うと、経験や直観です。

 ※1  1998年にカナダの代表的な学者、Norman E. Wagnerが「From Chaos to Wisdom」という小冊子をknowledge@work という組織から出版しました。私が日本産学フォーラムで活動していた時にお会いし、いただいた遺稿をベースにしています。ここで情報を精査するために、Informationはインフォメーションとして訳し、大雑把な従来の使い方をする場合は「情報」という言葉を使っています。
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